藤さんの食と旅と人と~エジプト-喧騒から古代ロマンの旅-前半~
エジプトの話を誰かにすると、かなりの確率で「一生に一回は行きたい」という言葉が返ってくる。かくいう僕もそうで、そんなことを何年か考えていました。しかし、エジプトに行くには、エジプトに行くのだ!という強い意志が芽生えないといけないので、今年こそと決意してエジプトに出かけた。成田発カタール経由で16時間位かけてカイロ国際空港へと。
日本から頼んでおいたホテルまでのリムジンがちゃんと迎えに来てくれるかなと少し不安を抱いていたら、案の定、出口には見当たらず。困った顔をしていると空港の案内係のような人がその会社に電話をしてくれて、迎えの車は建物の外側で待っているということがわかった。外に出てみると気のよさそうな若い男が何の悪気もなく笑顔で迎えてくれた。
カイロ市の中心部はオールドカイロと新興のニューカイロと二つのエリアに分かれており、今回ネットで予約したホテルはオールドカイロに位置していた。リムジンの運転手も探してくれて、ようやく細い路地に入った先の旧いビルの6階にそのホテルがあった。薄暗い階段には雑然と段ボールやら変なマネキン人形なんかが置いてあり、悪い予感。仕方なく大きなスーツケースを担ぎながら階段を昇り始めたが不安は募るばかり。5階まできたとき、そこにいた男がエレベーターを使えばと開けてくれた。エレベーターというよりは荷物用の簡易的なリフトのようなものだったが、とりあえずこれからは歩いて昇らなくてもいいことに安心した。ホテルの部屋が不潔でなかったことが救い。屋上に上がってみると、オールドカイロの街並みが見渡せる。いつ壊れてもおかしくないような廃墟のようになった旧いビルが立ち並び、ますます不安はよぎる。

夜は地元で人気のエジプト料理のお店へ。定番のソラマメのコロッケ・ターメイヤ、ロズビ・バリと呼ばれるエビご飯、それからおなじみのケバブ。料理を頼むと自動的にアエイシというエジプトパンが着いてくる。どれも美味しい。しかし、大きな困りごとがひとつ。お酒がない。敬虔なイスラム教徒の街だけあって殆どのレストランでお酒は出さないし、店でも買えない。あきらめてミネラルウォーターでいただく。地元の人たちはだいたいコーラやジュースと一緒に楽しんでいる様子。お酒も入ってないのににぎやかだ。




エジプトの買い物といえば、エジプト綿。衣料品店が多く立ち並び、入ってみると、この円安下においても案外安く感じる。路上でも所狭しと露天商が服や靴を売っているが、あきらかに偽ブランド。結局、きちんとしたユニクロのような雰囲気の店で2,3枚購入。
それにしても交通マナーは無茶苦茶で、自動車は信号無視でクラクションならしっぱなし。
歩行者は車の合間を縫って道路を横断しなければならず、毎度ストレスがかかった。
翌日の朝は、パンとバナナだけの簡単な朝食。料理を作る小さな男性が微笑みながらコーヒーを入れてくれた。体が少しずつエジプトになじんできた感じ。
そして予約していた現地のツアーに。ホテルの前で待っていると、黒いスカーフを頭に巻いた若い女性が迎えに来てくれた。彼女はドワイさんといい、3日間ずっとガイドをしてくれた。日本語が話せてまじめで優しい女性だった。
カイロから40~50分、高速道路の正面にいきなり三角形の大きなピラミッドが顔を出した。おお、これが待ち望んだギザのピラミッド。 でも案外、ここからが遠い。

ギザのピラミッドに行くには、まず入場券を買う入口で車を降りて、敷地内を循環している
大型のバスに乗り換える。そして、ツーリストは敷地内にいくつかある停留所で乗り降りする仕組みになっている。
砂漠だけあって、風が吹けば砂嵐の向こうにピラミッドが見える。近づけば近づくほど大きい。クフ王とその息子カフラー王のピラミッドの間の停留所でバスを降りる。もう圧倒的な大きさが迫ってくる。そしてひとつひとつの石も大きい。1個当たり2トンだという。こんなものをどう積みあげたのか本当に謎だ。クフ王のピラミッドの中に入ってみる。腰を曲げて数十メートルの坂を上った先に、王の間と呼ばれる部屋があって花崗岩の棺が安置されている。とても静かな不思議な空間。

親よりも大きなピラミッドを作ってはいけないという掟があるけれど、どうみても息子のカフラー王のピラミッドの方が高く見える。ドワイさんに聞いてみると、土地の高さが8mくらい高い場所にカフラー王はピラミッドを建てて、掟は守りつつ高くみえるようにしたらしい。4500年前のなんだかほほ笑ましいエピソードだ。
執筆:藤さん
ビジネスマンとして世界各国への出張を30年以上続けながら、趣味の旅行でもあちこちに出かける好奇心旺盛なアラ還男子。
山本代表の長年の友人で、ぼちぼちと旅のコラムをおもびよのブログで書いています。