第4回 藤さんの食と旅と人と~インドの温かい家族に招かれて~

僕のインド出張に合わせて、アメリカに住むインド人の友人も帰省するから、実家に来いという招きを受けた。友人の実家があるアーメダバードは、デリーから飛行機で1時間半程度の地方都市で、モティ首相の出身地でもある。そして、数年後には、日本の技術を採用した新幹線が開通する予定になっている(2023年完成予定のはずだがどうもまだのよう)。

何といっても初インド。しかも前日にゴルフ中に肉離れを起こして、松葉杖をついて移動するという情けないありさま。道路を自在に闊歩する神聖なる牛達の群れ。何をするでもなく一日中店先でぼーっと座っている老人、空き地に毛布一枚で寝転ぶ母子などなど、想像を超える風景に絶句の連続。

招かれたご実家は新築されたばかりの白亜の豪邸。友人の父親は会社を経営し、地元の名士でもあるらしい。親族ご一同が優しい笑顔で僕たちを迎え入れてくれた。笑ったのは、3階のホームシアターを見たとき。なんと幅5mくらいのスクリーンが備え付けられていて、客席は階段状になっていて20席くらいはある本格的な映画館のよう。これでボリウッドのインド映画を楽しむのだろうか。

そして夕食は一族の皆さんとテーブルを囲んだ手作りのインド式コース料理。思っていたよりも、野菜を使ったヘルシーな食材が多くて食べやすい。ご自慢の自家製カレーにもたっぷりとお豆なんかが使われていました。それにしても食べきれないほどたくさん出てくる。彼らのおもてなしは半端ない。しかも本当によく食べる。

ときはちょうど1月の初め。この町では、「カイトフェスティバル」というお祭りがおこなわれていた。いわばお正月のようなもので、親戚一同が集まって、凧あげをするというようなイベント。それぞれの家庭が屋上で凧を上げる風景はなかなか日本では観ることのできない光景だ。大人達はずっとビールを飲みながら笑い話が絶えず、子供たちも飛び切りの笑顔でなついてくる。本当に楽しいひととき。

この国は、ドはまりするか、大嫌いになるかどちらかだとよく言われる。もしもガンジス川で沐浴でもすれば違っていたのかもしれないけれど、僕にはそこまではっきりした感情はわかなかった。何年後かにこの国は中国を抜く経済規模になるという。私が抱いた実感としては身分制度のこと、電力の整備等まだまだ道のりは遠いように思えたが、それでも彼らの持つ哲学的な考え方、たくましい生命力はやがてそれを成し遂げていくのだろう。

カレーについて。 インドでは毎食出てくるカレー。油が合わないという人もいるけれど、僕はそれも美味しく感じた。そして帰国してからしばらくして、CoCo一番でカレーを食べたのだが、インドもよいけどやっぱり日本のカレーが一番、福神漬けもあるしなあと正直にそう思った。